2017/3/11 名古屋ウィメンズマラソン前日
名古屋ウィメンズマラソン展望D
直前のアルバカーキ合宿で手応え十分も、年間の流れでは懸念材料も
10代最高でデビューした岩出の、名古屋の成功が意味するところとは?
岩出玲亜(ノーリツ)に大きなチャンスが到来しているのは間違いない。
出場資格タイムでは清田真央(スズキ浜松AC)に次いで日本選手2番目で、2月のアルバカーキ合宿でも順調に練習を積んできた。「日本人トップでゴールすること」と言う目標達成の確率は低くない。
年間の流れで見ると岩出も万全とは言いがたいが、その状況を克服して結果を出すことができれば、マラソンランナーとしてさらに一皮剥けるチャンスでもある。
岩出玲亜のマラソン全成績
回数 |
年 |
月日 |
大会 |
順位 |
日本人順位 |
記 録 |
1 |
2014 |
11.16 |
横浜国際女子 |
3 |
2 |
2.27.21. |
2 |
2015 |
3.08 |
名古屋ウィメンズ |
8 |
5 |
2.29.16. |
3 |
2016 |
3.13 |
名古屋ウィメンズ |
5 |
4 |
2.24.38. |
4 |
2016 |
9.25 |
ベルリン |
4 |
1 |
2.28.09. |
マイナス材料は貧血で、12月〜1月の練習が十分にできなかったことだ。ノーリツの森岡芳彦監督は「直近のアルバカーキは良い練習ができましたが、その前の準備をするところがやれていない点が懸念材料です。貧血は良くなりましたが、血液性状だけで走れるわけではありません」と言う。
プラス材料は昨秋のベルリン・マラソンと、その後の駅伝を使ってハードスケジュールを走りきったこと。ベルリンから帰国後2週間で5000mを15分55秒35(1位)で走り、その1週間後のプリンセス駅伝エース区間の3区で区間2位。他チームの選手からも「本当に駅伝を走るの?」と驚かれるほどのスケジュールで、岩出の地力が上がっていることを物語っていた。
そして2月のアルバカーキ合宿では、森岡監督が世界陸上代表に育てた橋本康子が2005年に昆明で行ったメニューをアレンジして行った。現地では1人で走ることが多く、そこも岩出の自信となっている。
レース前日のテクニカルミーティングで、ペースメーカーの設定が第1グループは71分00秒、第2グループは72分00秒〜30秒に決まった。これは事前の予測と変わらない。岩出はどちらにつくか、スタートしてから決める。
「“動くな”と思ったら速い方について行きます。前半を後ろのペース設定で行っても、後半1人で押していける練習はしてきました。どちらでも対応できます」
森岡監督は、練習不足の時期があったからこそ、上辺の状態だけで判断してはいけないという。自身の状態を的確に見極め、正しい判断ができるかどうか。そこをクリアすれば日本人トップの可能性は高くなり、今後、代表になったときにも大きな武器となる。
初マラソンで10代日本最高を出したが、その記録は藤本彩夏(京セラ)が2月の東京マラソンで上回った。女子単独レースでは岩出が最高タイムだが、難しい状態で迎える名古屋で結果を出すことができれば、10代最高の肩書きは要らなくなるはずだ。
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